前回は、インターンシップとOB・OG訪問の取り組み方について解説させて頂きました。
業界研究の最終回にあたるこの記事では、『企業選びの視野を広げよう』と題し、読者のみなさんの志望企業の選択肢を増やす考え方を紹介したいと思っております。
それはそうと、とても大変なことになってきました・・・。
このブログにもよく登場する私のゼミ生さんが、「就職したくない・・・」と言い出したのです!
何があったのか、大変心配なのですが、とりあえず今回の内容をスタートしていきたいと思います!!
「私、やっぱり就職したくないかも」事件の余波について
就職したくないって昨日言ってたけど、考え直してくれた??
私で良かったら相談に乗るから、話してくれないかな??
で、どういう相談なのかな?
『サブキャラ男子の心理学的研究-SCD理論の構築とその妥当性の検証-』
何だか難しそうなタイトルね・・・
サブ・キャラ・ダンシの頭文字を取って、『SCD』と命名しました!!
えっと、「研究の目的」を見てみると・・・
高度情報化社会において、王子様系男子をしのぐ勢いを感じるのが「サブキャラ男子」(脇役男子)である。彼らには「華」はない。しかし「情緒」が認められるのだ
で、研究の根幹をなす「仮説」については、どうなってるのかな??
仮説2 サブキャラ男子は、実はさりげない「気づかい」ができる!
仮説3 サブキャラ男子は、実は付き合ったら「尽くして」くれる!
よく分からない部分もあるんだけど、
「これからは脇役的なサブキャラ男子がクル!」
ってことが言いたいのよね?
まぁ、本研究は、王子様系男子が偏重された現代社会へのアンチテーゼの意味合いもあるんですけどね!!
先生、この研究、ど~思います?
卒論のテーマ、これでいこうか??
だから「就職したくない」とかって言ったんじゃないのかな??
そうしたら、就活したくないって気持ちも変わるかもしれないから・・・
企業選びの視野を広げる方法、ぜひ伝授して下さい!!
大手・有名企業重視の就活生
志望企業のかたより
以下の表は、大手就活ナビサイト・キャリタスが発表した、2021年卒の人気企業の総合ランキングになります(当記事では1位~50位を掲載させて頂きました)。
順位 | 企業名 | 前年順位 |
1 | 東京海上日動火災保険 | 10 |
2 | 損保ジャパン | 103 |
3 | 伊藤忠商事 | 1 |
4 | 三井住友海上火災保険 | 30 |
5 | JAL | 9 |
6 | ANA | 6 |
7 | ソニー | 12 |
8 | 三菱商事 | 3 |
9 | サントリー | 4 |
10 | トヨタ自動車 | 2 |
11 | 東日本旅客鉄道 | 15 |
12 | 三菱UFJ銀行 | 5 |
13 | 資生堂 | 7 |
14 | JTBグループ | 8 |
15 | 味の素 | 19 |
16 | 三井住友銀行 | 28 |
17 | 三井物産 | 11 |
18 | パナソニック | 14 |
19 | 講談社 | 42 |
20 | 楽天 | 22 |
21 | 日本生命保険 | 58 |
22 | キリン | 17 |
23 | 野村総合研究所 | 23 |
24 | 日立製作所 | 18 |
25 | 旭化成グループ | 38 |
26 | アクセンチュア | 13 |
27 | 明治グループ(明治・Meiji Seika ファルマ) | 21 |
28 | 東海旅客鉄道 | 25 |
29 | 住友商事 | 29 |
30 | ニトリ | 35 |
31 | みずほフィナンシャルグループ | 20 |
32 | コーセー | 56 |
33 | 博報堂/博報堂DYメディアパートナーズ | 27 |
34 | 丸紅 | 16 |
35 | オリエンタルランド | 33 |
36 | NTTデータ | 123 |
37 | Sky | 57 |
38 | 明治安田生命保険 | 52 |
39 | 富士フイルムグループ | 43 |
40 | 富士通 | 40 |
41 | アサヒビール | 45 |
42 | 第一生命保険 | 68 |
43 | 花王 | 26 |
44 | 三井不動産 | 32 |
45 | 集英社 | 53 |
46 | デンソー | 39 |
46 | ジェーシービー | 78 |
48 | オリックスグループ | 51 |
49 | ソニーミュージックグループ | 48 |
50 | 凸版印刷 | 67 |
このランキングからどのような傾向が読み取れるでしょうか?
これまで当ブログ「業界研究」で使用してきたワードを用いて説明するならば、ここに掲載されている企業は、そのほとんどが、
大手企業であり、有名企業である!
と言うことができるでしょう。
誤解のないように申しますと、大手企業や有名企業に人気がかたよっていることに関して、読者のみなさんを批判しようというつもりは全くありません。
なぜなら、こうした傾向は、いつの時代にも一貫して認められる「普遍的な」現象と言うことができるからです。
何を隠そう、みなさんのお父さんやお母さんが学生だった時も、そして私が学生だった時も、就活生の人気は「大手・有名企業」に偏重していました。
こうした傾向は、今にはじまったことではないのです。
また当記事でも度々紹介してきましたが、志望業界・業種についても、著しいかたよりが認められます。
分かりやすく言うと、「人気の業界・業種」と「そうでない業界・業種」にハッキリ分かれてしまうのです。
こうした傾向も、かなり昔から一貫して認められていました。
いつの時代も、特定の業界・業種に人気が集中し、その競争倍率は極めて高いものとなっていました。
みなさんのお父さん・お母さん、そして私が学生だった時と現代とでは、社会の仕組みも就活の仕方も大きく様変わりしましたが、上述の事実から鑑みると、就活生の「希望の進路」への考え方は概ね変わっていないと判断することができるのではないでしょうか?
就活の「行き詰り」
志望する業界・業種・企業の人気のかたよりは、就職活動の「行き詰り」を引き起こす最大の原因になりえます。
就職活動の「行き詰り」が本格化するのは、就活ナビサイトがグランドオープンし、エントリーがスタートしてからなのではないかと思います。
エントリーが始まると、大手・有名企業、特定の業界・業種に属する企業に応募が殺到し、競争倍率は極めて高いものとなってしまいます。
多くの学生がその狭き門を目指すも、「涙をのむ」結果となってしまうのです。
インターネットが登場したことも、こうした「高い競争倍率」にさらに拍車をかける要因となっています。
一昔前までは、大学のランキングや所在地域(都市、地方)、性別、学部などによって、ある程度、志望企業の『すみ分け』ができていました。
手書きで書類を作成することはとても時間がかかる作業であるため、志望企業を絞らざるを得なかったからです。
しかし現在は、就活ナビサイトで所定の手続きを行えば、「多数の企業」に手軽にエントリーを行うことが可能です。
結果として、全国各地の様々な大学の就活生が大手・人気企業、特定業界に属する企業に「自由に」エントリーすることにより、その競争倍率は「ありえないぐらい高いもの」となってしまっているのです。
インターネットという就職に便利なツールが、就活生の内定獲得を難しくさせている・・・
そんな「逆説的な状況」が、今現在、みなさんたちの目の前で生じていると言うことができるのではないでしょうか?
大手企業や人気企業にしかエントリーしないから、就活が行き詰ることもあるってことですよね?
大手や人気企業にしかないメリットもあると思うし、働き甲斐もあると思うし・・・
けどね、仮に行き詰ったとしたならば、そこで「視野を広げてみる」ことが大事なんじゃないかな?
もっと言うと、エントリー前の「業界研究」の段階から視野を広げてほしいんだけどね・・・
けど、視野を広げるって、難しくないですか?
恋愛でも、これまでと違うタイプを好きになってみるとかって、勇気いることじゃないですか??
けどね、タイプじゃないと思って付き合ったら、その人が「運命の人」だってこともあるんじゃないかな・・・
先生、『視野の広げ方』、教えて下さい!!
よかったです、少し前向きになってくれて♪
以下、企業選びの視野を広げ、志望企業の選択肢を増やすための「考えるヒント」をお伝えさせて頂きます。
サブキャラ優良企業を探せ!
4位じゃダメなんですか?
私の卒論とも通ずる部分があるかも!
ところで、以前、業界ランキングの話をちょっとだけしたことがあるんだけど、覚えている?
そうです、覚えていてありがとうございます。
業界研究 第4回では、業界研究の一環として『業界動向 SEARCH.COM』というサイトを紹介させて頂きました。
このサイトでは、様々な業界の動向を知ることができるだけでなく、最新の業界ランキングを調べることができます。
ここで入手できるデータを用いて、以下、業界内の人気企業についてお話をさせて頂きますね♪
ぜひ教えて下さい!!
以下は、2018-2019年の保険料収入ランキング(トップ10)になります。
順位 | 企業名 | 保険料収入(億円) |
1 | 第一生命HD | 53,440 |
2 | 日本生命 | 47,751 |
3 | かんぽ生命保険 | 39,599 |
4 | 明治安田生命 | 27,708 |
5 | 住友生命 | 24,053 |
6 | メットライフ生命 | 21,121 |
7 | T&Dホールディングス | 16,761 |
8 | アフラック | 14,310 |
9 | ジブラルタ生命 | 11,727 |
10 | ソニー生命 | 11,361 |
大手企業や人気企業だから、倍率も超高いんですよね?
ところで、どこの業界も「トップ3(上位3企業)」に人気が偏る傾向があるんだけど、知ってた?
トップ3に人気が集中するのは、当然のような気がします。
どの業界でも、トップ3に君臨するのは、大手企業の中の大手企業、有名企業の中の有名企業、『THE 大手・有名企業』だからです。
そうした企業には、難関大学を中心に多くの優秀な学生がエントリーを行い、熾烈な競争が行われます。
倍率が高いのは、言うまでもありません。
ここで読者のみなさんに提案したいのは、
4位以下の企業にむしろ目を向けてほしい!
ということです。
例えば上述の生保業界では、4位に「明治安田生命」、5位に「住友生命」、6位に「メットライフ生命」が入っています。
10位に「ソニー生命」がランクインしています。
これらの企業は、確かに企業力(売上高)では4位以下なのかもしれませんが、1位の「第一生命」、2位の「日本生命」、3位の「かんぽ生命」にも勝るとも劣らない、優良企業と言えるのではないでしょうか?
むしろ、企業力以外の要因(働きやすさ、企業文化、成長環境)については、トップ3よりも勝っている部分があると言っても過言ではないかもしれません。
女性に配慮した社内の仕組みも確立されているかもしれません。
つまりは、4位以下の企業も「十分に優良企業」であるのです。
そして、4位以下の企業の競争倍率はトップ3に比べ、ぐっと「下がって」くるのです。
4位以下の企業に積極的に着目していくことの重要性、ご理解頂けましたでしょうか?
ところで就活の話、続きがあるんだけど、話してもいいかな?
お願いします!!!
サブキャラ優良企業はグループの中に隠れている
実際どういう企業が「隠れ優良企業」なんですか?
はい、ズバリ言うと、それは業界研究 第5回でも紹介した『グループ企業』(グループ会社)になってきます。
例えば、いつの時代も就活生の人気ランキングの上位に入る「サントリー」を例に説明させて頂きます。
業界大手であり知名度も高いサントリーは、例年、「高倍率」となっています。
では、サントリーは、どのようなグループ企業を有しているのでしょうか?
Table1 サントリーの主なグループ企業
サントリービバレッジサービス(株) |
業種 商社(食品・農林・水産) 、食品、専門店(食品・日用品)、サービス(その他) 本社 東京都 従業員 1000~3000人未満 |
サントリーロジスティクス(株) |
業種 物流・倉庫 、陸運(貨物・バス・タクシー) 本社大阪府 従業員300 ~ 500人未満 |
ジャパンビバレッジグループ |
業種 商社(食品・農林・水産) 、サービス(その他)、陸運(貨物・バス・タクシー) 本社東京都 従業員3000 ~ 5000人未満 |
(株)プロントコーポレーション |
業種 外食・レストラン 、給食・デリカ・フードビジネス、食品、専門店(食品・日用品)、商社(食品・農林・水産) 本社東京都 従業員100 ~ 300人未満 |
サントリーパブリシティサービス(株) |
業種サービス(その他) 、各種ビジネスサービス 本社東京都 従業員500 ~ 1000人未満 |
ハーゲンダッツ ジャパン(株) |
業種食品 本社東京都 従業員100 ~ 300人未満 |
サントリーマーケティング&コマース(株) |
業種商社(その他製品) 、広告、通販・ネット販売、専門店(食品・日用品)、日用品・生活関連機器 本社東京都 従業員100 ~ 300人未満 |
サントリー知多蒸溜所(株) |
業種食品 、商社(食品・農林・水産) 本社愛知県 従業員~ 50人未満 |
沖縄サントリー(株) |
業種商社(食品・農林・水産) 本社沖縄県 従業員~ 50人未満 |
井筒まい泉(株)(サントリーグループ) |
業種給食・デリカ・フードビジネス 、外食・レストラン、専門店(食品・日用品)、食品、百貨店 本社東京都 従業員300 ~ 500人未満 |
モンテ物産(株) |
業種商社(食品・農林・水産) 、専門店(食品・日用品)、通販・ネット販売、食品、イベント・興行 本社東京都 従業員100 ~ 300人未満 |
(2020年6月現在) |
ハーゲンダッツやとんかつのまい泉がサントリーのグループ企業だったとは・・・
調べてみないと、優良企業って分かんないんですね!!
そうなんです!
分かって頂けて幸いです!!
就活生が大手企業、有名企業に目を向けることは、決して悪いことではありませんが、そこから一歩、業界研究を進めて、大手企業、有名企業の『グループ企業』にも視野を広げていってほしいのです。
特に「NTT東日本」「JR東日本」などの大手インフラ系企業や財閥系(三井・三菱・住友・安田)のグループ企業は、優良企業でありながら親会社よりも「競争倍率は低い」ため、親会社に興味・関心がおありの方は、選択肢の一つに入れてもよいかと思います。
大手企業の名前が入ったグループ企業は、概して福利厚生や働き方の仕組みが親会社と同程度に充実しており、業界内で優良企業として認知されている場合が多いように感じます。
とても働きやすい環境であるため、大手のグループ企業であれば、入社後も安心して仕事に取り組めるのではないでしょうか?
他にも、お役立ち情報、ありますか?
例えばね、こういう感じかな?
Table2 本命の「在京キー局」から志望企業を
広げる場合
第1志望グループ | NHK、在京キー局(日テレ、フジテレビ、テレ朝、テレ東、TBS) |
第2志望グループ | 準キー局(讀賣、毎日、朝日等)、在名基幹局(中京、東海等) |
第3志望グループ | 地方局、地方CATV、番組制作会社 |
第4志望グループ | FMラジオ局(東京FM等) |
第5志望グループ | ネット配信会社(Abema TV等) |
あまり、第一志望に「こだわり過ぎない」のが大切かな・・・
第二志望以下の企業にだって、良さや魅力があるんじゃないかなぁ・・・
第一志望にこだわり過ぎない方がいいって、もしかしたら「恋愛」や「結婚」にも当てはまるのかもしれませんね💛💛
と、ここまで「業界4位以下の企業に目を向ける」こと、そして「大手・有名企業のグループ企業に目を向ける」ことについて、解説させて頂きました。
以下、読者のみなさんの企業選びの視野を広げるべく、次なるカードを切っていきたいと思います!
B to Bはサブキャラ優良業界!?
B to Bとは?
勉強不足ですいません!
3食パンでも構いません!!
私は代官山か、代々木あたりの小さなベーカリーショップが好きかな💛💛
はい、解説させて頂きますね!
まず基本的な概念として、以下の3つのワードをおさえてほしいと思います。
②B to B・・・企業(法人)に商品・サービスを提供する業界や企業のこと
③B to B to C・・・消費者と企業の両方にサービスを提供する企業のこと
これを図にすると、こんな感じになります。
ここで「パン」を使って説明していくね♪
はい、では製造業を例に説明しますね♪
製造業の世界では、「消費財」「生産財」「中間財」という概念があります(石渡,2019)。
B 生産財・・・製品(パン)を作るための機械
C 中間財・・・製品(パン)を作る機械を構成する部品
最終的に消費者に届けられるのは消費財(パン)ですが、生産財(機械)や中間財(部品)のいずれが欠けても、パンは完成しないことをご理解頂けるのではないでしょうか?
先ほど紹介した「①B to C・②B to B」と「A消費財・B生産財・C中間財」を一つにまとめたものが以下の図になります。
消費者に届けられる商品(消費財)を扱っているのが『B to C』、消費財を生産するための機械(生産財)や部品(中間財)を扱っているのが『B to B』ってわけなんですね!!
私、B to C業界の企業にしか目を向けていませんでした・・・、
反省で〜す・・・
みんなそうなんだから!!
けど、ど~して地味なB to B業界の企業に注目すべきなんですか??
B to Bに着目することの重要性
学生さんに志望企業を列挙してもらうと、『B to C企業』ばかりをあげる傾向にあると感じています。
実際、就活生からB to C企業は、絶大なる人気度を誇っています。
そしてそれは、採用選考における極めて「高い競争倍率」にもよく表れています。
なぜ、就活生はB to C企業ばかりを志望する傾向にあるのでしょうか?
理由は、簡単です!
B to C企業は、「テレビCM」を流しているからです!!
先述のように、B to C企業は、一般消費者向けに商品やサービスを提供しています。
一般消費者に訴求する最も手っ取り早い方法は、メディアを使って宣伝することですよね。
パン、ビールやジュース、スマホにパソコン・・・
いずれの商品においても、「消費者の購買意欲」をくすぐるべく、有名芸能人やタレントを起用した魅力的なテレビCMを流しているのです。
就活生は、そうしたテレビCMをおそらく幼少の頃から、繰り返し、繰り返し視聴してきたことでしょう。
その結果として、
志望企業をどうしよう?
となった時に、頭の中にB to C企業ばかりが思い浮かんでしまう・・・、そういう状況なのではないでしょうか?
つまり、テレビCMの効果により『B to C企業』は高い「認知度」や「知名度」を獲得しているため、それが就活生の人気につながっていると判断できるのです。
『B to C業界』はCMを流している企業がほとんどで、知名度も高いから、就活の競争倍率がありえないぐらい高くなってるんですね!!
女子の多くは、王子様系が好きだもんね・・・
それはそうと、『B to C業界』の方が儲かってるイメージがあるんですけど、実際、ど~なんですか??
そう思われますよね。
とても大切な点ですので、以下、解説させて下さい。
B to C業界って、正直厳しいの?
あ~降りてこい、降りてこい・・・
ところで私の卒論の予備調査で、興味深いエビデンスが得られたんです!
「サブキャラ男子」=「家電男子」といっても過言ではないと思います!!
それ頂くわ!!!
では、家電メーカーを例に説明したいと思います。
『B to C業界』に属する大手家電メーカーは、先述のCM放映の効果により圧倒的に高い「社会的認知度」を誇り、就活生にとっての「人気企業」の座に長い間、君臨してきました。
シャープ、日立、パナソニック、富士通、NEC・・・
いずれも、読者のみなさんがよくご存知の企業ばかりですが、そうした企業が社会的認知度や知名度と同等の業績を現在も上げているかと言うと、疑問符が付かざるを得ないと思います。
私が説明するまでもなく、こうした企業は、バブル期以降、大失速してしまいました。
巨額な赤字を計上した企業、海外企業に買収された企業もあり、「日本の電機メーカーは凋落の一途」と烙印を押す評論家もいるほど、業界全体が地盤沈下してしまったのです。
現在は持ち直している企業も、もちろんありますが、業界全体が厳しい状況に置かれていることに変わりはないと言えるのではないでしょうか?
「アジアを中心とした海外勢に押されている」って!!
けれども・・・、
そう言えば、あなたの自宅のTVって、SONYのBRAVIAだったわよね??
LG、ホント、きれいな映像でしたよ~!!
あっ、もちろん、私は日本企業に大いに期待してるけどね・・・、
実はうちもBRAVIAだし・・・
それはそ~と、『B to B業界』って、業界の天気図的にど~なんですかね???
B to B業界は優良企業の宝庫!?
上述のB to C業界(消費財のメーカー)と比べ、『B to B業界』(生産財、中間財のメーカー)は、どうなのでしょうか?
かつてはB to B業界に属する国内企業の主張取引先は、国内の消費財メーカーと取引してましたが、国内の景気が落ち込んで来るや、販路を海外(中国、韓国、台湾、インド、ヨーロッパ)に拡張し、好調な業績を維持している企業が多いように思われます。
では、なぜ海外の企業が、自国の企業ではなく、日本のB to B企業と取引をするのでしょうか?
その答えは、いたってシンプルです。
日本のB toB企業は、高い技術力を誇り、グローバル市場で高い優位性を獲得している
からなのです。
もちろん、海外企業とて、自国の企業と取引をした方が、コストは少なくてすむはずです。
しかし「コストの高低を凌駕した高い技術力」を日本のB to B企業は持っているため、そうしたB to B企業が世界から求められていると判断できるでしょう。
B to B業界は、知名度ではB to C業界に「劣る」ことは否めないでしょう。
しかし、
高い品質、海外企業がなかなか真似のできない独自の技術、国際競争力の高さ・・・
こうした点を総合的に鑑みると、B to B業界に属する企業の中に「優良企業」や「実力企業」があると言って、決して言い過ぎでないと思います。
B to Bという業界に着目することの重要性、ご理解頂けましたでしょうか?
国内のB to B業界の企業は、技術力が圧倒的に高いから、経営的に安定しているんですね!!!
サブキャラ男子は、「堅実な」人が多いみたいですよ!!
そこ、すごっく気になりますよね。
結論的に言うと、高い国際競争力を有する日本のB to B企業は、今後もその「堅調さ」をキープしていけるのではないかと考えられています。
例えば、新幹線ですが、そこで採用されている車両や信号、運行管理システムといった日本製品は、既に台湾で採用されていますし、今後も販路が国際的に拡大していくことが予想されています。
こうした販路拡大に伴い、中間財を製造する部品メーカーも業績が拡大していくことが考えられます。
またみなさんたちが毎日のように使っているデスクトップPCやノートPC。
今は海外メーカーの安い商品が人気を集めつつありますが、やはりスペックが劣ったり、何より故障が多いのが難点ですよね。
私見で恐縮ですが、海外製のPCは「当たり外れ」が多いように感じています。
同じ型番の製品でも、良い製品と悪い製品に「大きなばらつき」が認められるのです。
この理由をその業界に精通した専門家に伺ったことがあります。
実は海外の部品メーカーは、品質検査の基準に一定の「幅」があるようなのです。
分かりやすく言うと、「80点~100点」の範囲に入っていたらその部品を「合格」として出荷する、そういうシステムを取っている所がほとんどであるとのことでした。
このような品質管理のシステムを取っている場合、結果として、「80点の部品」もできれば、「100点の部品」もできあがってしまいますよね・・・。
そうした「ばらつき」のある部品を多数集めてPCという一つの製品を作り上げるため、結果として「著しくばらつきがある製品」が市場に出荷されてしまっているとのことでした。
一方、日本のメーカーはどうなのでしょうか?
日本のメーカーは上述の海外のメーカーとは異なり、「明確な一つの目標(例;95点)」を定めて部品を作り、品質管理を行っているとのことでした。
この場合、「95点未満」の部品も、「95点超」の部品も出荷される時には、完全に排除されることになります。
つまり、高品質でばらつきの少ない部品がコンスタントにPCメーカーに供給されていることが、日本製製品の信頼性と安定性につながっているのではないかと、専門家の方はおっしゃっていました。
少しお話が冗長になってしまいましたが、日本のB to B企業は、クオリティの高い製品なり部品を安定的に生産しようとする『こだわり』とそれを実現する『高い技術力』を持っていると言えるでしょう。
これは簡単に海外のメーカーが真似できることではありません。
こうした事実からも、B to B業界に属する企業が、今後も好調をキープしていけると言うことができるのではないでしょうか?
日本のB to B業界の強さ、すっごくよく分かりました!
これからグローバル展開を行い、業績を上げていくB to B企業もありそうですね?
パンや新幹線、パソコンの話は分かったんで、他にどんなB to Bがあるのか、教えて下さい!!
B to B企業を探してみよう!
あまり身近でないB to Bの業界・企業ですが、実は私たちが日常生活で使用する多くの製品を「下支え」していると言うことができます。
Table3 実は身近なB to B業界
スマートフォン | タッチパネル、集積回路、スイッチコイル、コイルなど |
パソコン | CPU、メモリ、半導体、液晶など |
自動車 | タイヤ、プラグ、ベアリング、鉄板、ガラスなど |
食品・飲料 | 食品原料、添加物、香料、容器、充填機械など |
マンション | 鉄骨、セメント、掘削機械、建材など |
東洋経済新報社(2019)より引用 |
上記はその一例になりますが、読者のみなさんが興味ある製品の「原材料」や「製造工程」を想像して頂けると、様々なB to Bの製品を想像できるのではないかと思います。
B to Bの製品を想像できたら、それを担う「業界・業種」、「企業」を探していってみて下さい。
B to B企業を探す際、留意してほしいことは、前述の『業界内シェア』になってきます。
シェアが高ければ、業績が拡大を続け、経営基盤が安定していることが多いように思われます。
特に専門性が高かったり、ニッチな製品/部品を提供するB to B企業は、競合が少なく、国内外を代表する優良企業を顧客に抱えているケースがほとんどになります。
そうした企業では、価格などの主導権を取りやすく、業績が崩れにくい(つまりは、企業力を維持しやすい)とされているのです。
それゆえ、B to Bの企業情報を見る際、「トップ」「首位」「高シェア」というキーワードを注視していくようにすると、優良企業や実力企業に出会えるのではないでしょうか?
「B to Bに目を向ける=企業選択の幅を広げる」ってことなんですよね!!
例えばね、あなたのお家って、車はどこのメーカーのものなの?
例えば、日本で車を作っている大手メーカーって、どのぐらいあると思う??
実は大手は8社しかないの!!
ってことは、車関係のB to C企業は、国内にほんのちょこっとしかないんですね!!
けどね、トヨタなどのB to Cと1次取引をするBtoB企業(部品、タイヤ)は数百社、そして2次取引をするB to B企業(部品用の部品、素材)は数千社にも及んでいるの!!
B to B企業を見たら、企業の選択肢が無限に広がっていく理由、合点がいきました!!!
口コミ情報を見てみよう!
ここまで、
- 業界内4位以下の企業に着目する
- 大手・優良企業のグループ企業に目を向ける
- B to B企業にも視野を広げてみる
ことを解説してきました。
最後は、『クチコミサイト』を活用して、自分との適合度(マッチング度)が高い企業を探していく方法を探していく方法を紹介したいと思います。
みなさんの初めてカフェや飲食店を訪れる際、クチコミサイトを利用するでしょう。
初めての美容院に行くときにも、クチコミサイトをチェックしますよね。
本や日用品を買う時だって、そうだと思います。
カスタマーレビューを参考にして、本なり品物を買うかどうかを確認すると思います。
実は、企業選択についても、同様の論理を適用することができます。
ここまで見てきた業界内4位以下の企業、グループ企業、そしてB to B企業は、学生さんにとってあまり馴染みのない企業が多いのではないかと思います。
自分にとって、未知の企業にエントリーするのは、かなり勇気がいることですよね・・・。
どうせだったら、ある程度の「手ごたえ」なり「確信」を持ってエントリーしたいと思うのは、当然のことだと思います。
そういう時は、クチコミサイトを活用し、社員の率直な意見を調べてみることをオススメしたいと思います!
クチコミサイトを調べることで、これまで知らなった企業の持つ「様々な顔」を知ることができるのではないでしょうか?
けど、企業のクチコミサイトとかって、ホントにあるんですか?
openworkを活用しよう!
『openwork』は、社会人たちのリアルな声をうかがい知ることができる貴重なクチコミサイトになります。
具体的には、当該企業に在職中(もしくは在職していた)社員のクチコミ投稿を様々な角度から整理・分類し、総合的な評価を行っています。
以下、サイトの構成とその内容を簡単に紹介させて頂きますね♪
社員による会社評価スコア
企業名を入力し検索すると、ページ上部にこちらの図が表示されます。
待遇面の満足度、社員の士気、風通しの良さ、社員の相互尊重、20代成長環境、人材の長期育成、法令順守意識、人事評価の適正感が得点がレーダーチャートで表現されています(得点は5点満点の平均値になります)。
レーダーチャートを見て頂くことで、その企業の総合力を視覚的に把握することが可能だと思います。
カテゴリー別の社員口コミ
「社員による会社評価スコア」直下にあるこちらの箇所に、社員クチコミが掲載されています。
掲載されているクチコミのカテゴリーは下記の通りとなっています。
・入社理由と入社後ギャップ
・働きがい・成長
・女性の働きやすさ
・ワーク・ライフ・バランス
・退職検討理由
・企業分析(強み・弱み・展望)
・経営者への提言
年収・給与
「年収・給与」のタブをクリックすると、階級ごとの年収分布の棒グラフ、回答者の平均年収、年収範囲が表示されます。
分析・比較
「分析・比較」のタブをクリックすると、「データの推移」「競合比較」「ランキング」が表示されます。
「データの推移」では、口コミ総合評価と待遇面の満足度の年次推移を、「競合比較」では、当該企業と業界平均との評価の違いをグラフで確認することができます。
また「ランキング」では、業界内における当該企業の総合評価の位置づけを確認することができます。
こ~いうの、知りたかったんです!!
以前、先生が企業アセスメントの4つのポイントをおっしゃっていたじゃないですか?
他にも、重点的にみた方がよいカテゴリーって、何かありますか?
ここを見ていくと・・・、
『ブラック企業』かどうかを判断することができるかもね!!
就活生に大人気の企業じゃないですか!!
人気企業≠優良企業ってこともある・・・、肝に銘じておきます!!
いかがだったでしょうか?
『openwork』を有効に活用することで、あまり見聞きしたことのない業界4位以下の企業、グループ企業、B to B企業の企業分析や企業評価を総合的に行うことが可能なのではないでしょうか?
ただし、『openwork』等の口コミサイトを閲覧する時は、注意も必要です。
こうした口コミサイトに掲載されている情報には、個々の社員の「主観」に基づく情報であるため、特定の方向にバイアスがかかっている可能性が考えられるからです。
特に口コミ投稿数が少ない企業では、一人の意見なり判断により、全体の評価が、良い方向、悪い方向に大きく「変わって」しまうことも十分ありえることだと考えます。
それゆえ、口コミサイトの情報はあくまでも「参考程度」にとどめ、最終的には企業研究や企業分析、インターンシップやOB・OG訪問などで、自分が入手した情報の真偽や信ぴょう性を確かめることをオススメしたいと思います。
上記のような注意点や留意点があることは事実ですが、このように便利なクチコミサイトを就活で使わない手はないですよね♪
それゆえ今回は、『openwork』を使った課題を提示したいと思います。
(2)あなたがこれまで業界研究を行い、気になった企業「10社」をピックアップして下さい。
(3)『openwork』で当該企業の検索を行います。まず社員による会社評価スコアをレーダーチャートに記入すると同時に、総合評価得点の平均値を記入して下さい。
(4)次に、社員クチコミをカテゴリー別に読んでいき、気になった点、分かった点をまとめていって下さい。最後にあなたの意見や感想を書いて、ワークシートは完成です!!
クチコミデータの分析については、気になる箇所をMicrosoft WORDにコピペしてまとめていってもよいですし、プリントアウトして蛍光ペンを入れていくやり方でもよいかと思います。
自分のやりやすい方法で大丈夫ですので、時間をかけてじっくりクチコミ投稿を読んでみて下さい。
きっと、これまでの企業研究、企業分析では分からなかった、企業の「意外な素顔」が分かってくるのではないかと思います。
また余裕があれば、志望企業の「同業他社」のデータも見てみて下さい。
志望企業のA社よりも、同業他社のB社、C社の方が社員による会社評価スコアが高い場合も十分考えられます。
このように「同業他社」へと興味・関心の範囲を広げていくことで、志望企業の選択肢をさらに増やしていくことができるのではないでしょうか?
当記事の冒頭で述べたように、業界研究、そして実際の就職活動は、時として「行き詰る」時があります。
そういう時、人は「何て、自分はダメな人間なんだ!」と自己卑下したり、自分の能力のなさを嘆いたりしがちだと思います。
就活の行き詰まりから、就労への意欲をなくす学生さんも少なくありません。
もしかしたら、読者のみなさんの中にも、そうした状況の中で、人知れず悩んだり、もがき苦しんでいる方もいらっしゃるかもしれません。
大変難しく、そして厳しい状況で必死に頑張っていらっしゃる読者のみなさんに、今回、お伝えしたいメッセージがあります。
それは、
行き詰った時こそ、視野を広げてほしい!
ということです。
行き詰っている時は、大体の場合において、近視眼的になっていることが多いように思います。
近視眼的になってしまっては、問題や事態を打開することは、決してできません。
視野を広げたら、みなさんがまだ見ぬ業界という世界が広がっています。
そこを探求していけば、「優良企業」や「実力企業」、さらには、あなたにとっての『理想の企業』に出会えるかもしれないのです!!
行き詰った時こそ、企業選択の幅を広げ、これまで調べてこなかった業界や企業にも目を向けて頂ければ幸いに存じます。
私、やっぱり・・・、〇〇します!
少しは参考になったかな?
私、やっぱり・・・
私、大学院に進学して、恋愛心理学を研究します!!
私、恋愛心理学を研究して、先生の後継者になります!!
私の指導は厳しいけど、大丈夫かしら??
バッチコイです!!!
じゃあ、卒業研究をもうちょっと練り直していこっか?
学生さんの進路も決まり(?)、安心する私。
この学生さんなら、きっと5年後、私を追い抜き、一流の恋愛心理学者になってくれることでしょう♪
と、10回に渡りお伝えしてきた「業界研究」。
いかがだったでしょうか?
少しでもみなさんの業界研究の参考になったとしたならば、筆者としてこんなにうれしいことはありません。
当ブログでは、「エントリシート」「面接対策」の記事も用意しておりますので、もしよろしければご一読頂けますと幸いです。
最後までお読み頂き、本当に有難うございました。
まとめ
>> エントリーシートを作成しよう!
<< 09.『インターンシップ/OB・OG訪問』を行おう!
<< 業界研究をはじめよう!
<< 自己分析をはじめよう!
<< 就活のベストスケジュール
- <引用・参考文献>
キャリタス就活 (2020) 発表!2021年卒の就活生が選ぶ人気企業とは?
~就職希望企業ランキング:総合編~
https://job.career-tasu.jp/2021/guide/study/ranking/1_1.htmlイノウ編著 (2019) 世界一わかりやすい業界と職種がわかる&選ぶ本‘21 ソシム株式会社
石渡嶺司 (2017) キレイごとぬきの就活論 新潮新書
三田紀房・福島直樹 (2018) 無敵の就活パーフェクトナビ TAC出版
就活塾キャリアカデミー (2019) 就職活動1冊目の教科書 (株)KADOKAWA
トイアンナ (2019) 確実内定 (株)KADOKAWA
東洋経済新報社 (2019) 就職四季報2021年度版(総合版)
東洋経済新報社 (2019) 就職四季報2021年度版(企業研究・インターンシップ版)