【自己分析09】自分の性格を『総合的に考察』しよう!

自己分析を全10回で解説していく当ブログ。
前々回より、「自己の性格を理解する方法」をお話ししております!

人の性格を心理学的にとらえる方法は、

A. 類型論に基づくアプローチ
B. 特性論に基づくアプローチ

に大別されますが、前回は、Bの『特性論』代表格“ビッグファイブモデル”紹介しましたよね♪

今回は、前回行った性格検査(ビッグファイブプラス)の検査結果正しく読み解き、自分の「本当の性格」に迫っていく方法を解説したいと思っています!!

恋の緊急事態とその対応について

学生さん
先生、ごきげんよう・・・、
ちょっとイイですか(涙)
minamin
やだ、マジ泣きしてるじゃないの~?!
いったい、何があったの??
学生さん
実は、昨日、彼氏さんと大ゲンカをしまして・・・、
ウチら、別れることになりそうです(涙)
minamin
まだ交際2日目じゃないの~?!
ケンカの原因は、いったい何なの??
学生さん
ビッグファイブプラスの検査結果です!!
minamin
ええっ??
また、ど~して???
学生さん
検査結果を見て、私は「全然当たってない!」って思ったんですけど、
彼氏さんは「バッチリ当たってる!」って言うんです・・・、
それで激しい言い争いになってしまい・・・(涙)
minamin
そ~だったのね・・・、
けど、検査結果の受け止め方って、人それぞれでいいんじゃないのかな?
早いトコ、仲直りしたら???
学生さん
いえ、あたし的に納得がいかないです!
ていうか、彼氏さんの方がむしろ一歩もひいてくれないんです!!
彼氏さんがこんなに「分からず屋」だとは思いませんでした・・・(涙)

なるほど、そうでしたか・・・。
けれども、ビッグファイブプラスの受検をススめたのは、まぎれもなくこの私です。
可及的速やかに「恋の緊急事態」を収束させる大きな責任があることは言うまでもないでしょう。
すぐさま、全力でフォローを開始しました。

minamin
けどね、検査結果の受け止め方が違うってことは、ダーリンは「あなたと異なる、独自の視点を持ってる」ってことでしょ?
そういう人って、異性として魅力的じゃないのかな??
学生さん
あっ、もしかしてそれ、
前回話してた「似てない者同士だからひかれあう」(相補性仮説)の話ですか?
minamin
そう、その通り!
自分と考え方や価値観が異なるからこそ、パートナーとして最適なんじゃないのかな?
学生さん
ってことは、
ダーリンは、私にはないステキな感性を持ってるってことですよね💛
minamin
(ダーリンになったか・・・)
そうよ!
ダーリンはステキな感性を持ってるの!!
キラッキラと輝いているの!!!
学生さん
先生、やっぱし別れるの止めにします
ダーリンに連絡しますね💛💛

取りあえず最悪の事態を回避できたようです。
私は、ほっと胸をなでおろしました(苦笑)。

ビッグファイブプラスの検査を受け、診断結果の受け止め方が異なったことから大ゲンカに発展した学生さんとダーリン(?)。
ところで、読者のみなさんはいかがだったでしょうか?

診断結果を見て、

ピッタリ当たっている!(自分にあてはまっている)

と思った方もいれば、

あまり当たっていない・・・(自分にあてはまっていない)

と思われた方もいらっしゃったかと思います。

もしかすると、

「自分が思うところの性格」「性格検査の結果」のいったいどちらを信じたらいいの

と、現在お悩み中の方もいらっしゃるかもしれません。

実は性格検査結果の受け止め方は、最も難しい自己分析課題とされております。
ここでつまづいてしまい、永遠に終わらない「自分探しの闇」に入ってしまう就活生も少なくないのです・・・。

ではどのようにすれば、性格検査の結果を正しく解釈することができるのでしょうか?
以下、順を追って丁寧に説明させて頂きますね♪

検査結果の受け止め方

正しい性格検査を受けた人は診断結果を「当たっている」と思い、誤った性格検査を受けた人は、それを「当たっていない」と思う
これは常識的に考えて、理解できることではないかと思います。

しかし摩訶不思議なことに、同一の性格検査を受けたにも関わらず、人により

「当たっている」
「いや当たっていない」

受け止め方が様々に異なってくることが分かっています。
こうした診断結果の受け止め方が個々人で違ってくることは、前回行ったビッグファイブプラスにとどまらず、あらゆる性格検査・心理テストで広く認められる現象になります。

なぜ、ある人は診断結果を「当たっている」と思い、また別の人は「当たっていない」と思うのでしょうか???
順番に説明していきますね。

検査が当たっているたっていると思う心理

検査結果が当たっていると思う理由としては、以下の3つの可能性が考えられます。

1. その人の性格を上手くとらえられたから

これは、性格検査がしっかりと作られており、検査を受けた人の性格を正しくとらえていたため、「当たっている」と思ったケースを指しています。
洋服や食べ物に品物の良し悪しがあるように、性格検査や心理テストもクオリティの良し悪しがあるとされています。
当然のことながら、クオリティが高い検査(よく出来ている検査)であればある程、その人の性格をより的確にとらえることが可能になります。

ただ注意して頂きたいのは、出来が悪い性格検査により導き出されたあやふやな診断結果であったとしても、人はそれを

自分により当てはまっている

ものとして信じこむ傾向があることが分かっているのです。
以下、じっくり解説していきますね。

2. バーナム効果

『バーナム効果』とは、誰にでも少しは当てはまる一般的な記述

「これがあなたの性格です!」

といった形で与えると、多くの人がそれを深く考えることなく受け入れてしまうことを指しています(既出記事でも紹介しましたよね)。

前回のビッグファイブモデルで測定しているのは、程度の差はあれ誰しもが持つとされる一般的な性格特性になります。
分かりやすい例をあげると、どんな人でも

「外向的な」側面と「内向的な」側面

を持ち合わせていらっしゃいますよね。
しかし性格検査を受け、

「あなたは外向的ですよ!」

とひとたび診断されてしまうと、私たちは

「あっそうなんだ!、私は外向的な性格なんだ!!」

と結果を簡単に受け入れ、それを無批判に信じこんでしまう傾向があるとされるのです。

3. 選択記憶再生

また『選択的記憶再生』という記憶のメカニズムも「性格検査が当たっている」と思う心理に関わっているとされています。
例えば、性格検査で

「あなたは神経質である」

という診断結果が示されたとします。

この時、不思議なことなのですが、頭の中で

「神経質だった過去のエピソード」が優先的に思い出され、
「神経質でなかった過去のエピソード」はあまり思い出されない

という現象が生じます。
このことを『選択的記憶再生』と呼んでいます。

その結果、診断を受け取った人は、

「あっ、当たってる!私、すっごく神経質かも!!」

と、あたかもその性格診断が正しかったかのように誤認してしまうおそれがあるのです。
ちなみに、「占い」を信じこんでしまうメカニズムも『選択的記憶再生』で説明することができるとされています(↓)。

苦労した経験ばかり思い出され、
苦労しなかった経験は思い出されない・・・

1のように性格検査が正しければ問題ありませんが、2・3のようによく考えることなく検査結果を受け入れてしまうことほど危険なことはありません。
なぜなら無批判に誤った診断結果を信じこんでしまったら、自分の性格を理解することは「永遠に」できないからです。

ですので、ビッグファイブプラスの診断結果が「当たっている」と思ってしまった人は、

「本当に当たっているんだろうか?」
「実は間違ってるんじゃないだろうか?」

といった批判的な視点で診断結果を吟味していってほしいと思います。
次に「検査が当たっていない」と思う理由を見ていくことにします。

検査が当たっていないと思う心理

これについては、2つの可能性が考えられます。

1. 自分の認識に誤りや歪みがあったから

これは、検査を受けられた人が、ご自身の本当の性格特性をよく理解していなかったため、「当たっていない」と思ってしまうケースを指しています。
つまり、検査がその人の性格を的確にとらえていたとしても、検査を受けた当の本人が「自分の性格の特徴」を十分に分かっていなければ、診断結果と自分の認識に食い違いが生じことが考えられるのです。

上記の点は、あまり詳しく説明しなくても、ご理解頂けるのではないかと思います。
ただし、二つ目の理由の方が、より重要になってきます。

2. その人の性格を上手くとらえられなかったから

これは、自分の認識の方が正しく、性格検査の方が間違っている時に「当たっていない」と思うケースを指しています。
いったい、どういうことなのでしょうか?

ビッグファイブプラスでは、55個の質問から、あなたの性格の特徴をとらえようと試みていました。
「当たっていない」と感じられた場合、もちろん1の「自己認識の誤りや歪み」の可能性も考えられるのですが、55個の質問が、あなたの性格特性を十分にとらえきれていなかった可能性を否定できないのです。

読者のみなさんに覚えておいてほしいことがあります。
それは、

完璧な性格検査、万能な性格検査など世の中に存在しない

ということになります。

これは、どんな有名な性格検査であったとしても例外ではありません。
確かにビッグファイブプラスは、大変定評のある性格検査になります。
しかしながら、ビッグファイブプラスであったとしても、あなたの性格を十分にとらえきれていなかった可能性を指摘することができるのです。

と、ここまで検査が「当たっていると思う心理」「当たっていないと思う心理」を説明してきました。
いずれにせよ、診断結果を安易に受け入れたり、深く考えることなく否定することは、本当の自分を理解することの妨げになりかねないと結論づけることができるでしょう。

本当の私を分析しよう!

学生さん
じゃあ、私が「性格診断の結果が間違っている!」って言ったのって、あながち悪いことではないんですね!
minamin
その通り!
結果を安易に受け入れるのではなく、「この検査結果って、間違ってるんじゃない?」って、疑う姿勢こそが大切だと思うわ!
学生さん
「疑う姿勢」ですか?
minamin
その通り!!
どんな性格診断であったとしても、結果を批判的に受け止め考察していかないと、「真実」って見えてこないんじゃないかな??
学生さん
真実か・・・
先生、じゃあ、私の本当の性格、どうやったら分かるんですか???

そうですよね、
当然そう思われますよね。

という訳で、大変前置きが長くなりましたが、ここからは本題である、

どうすれば、自分自身の本当の性格をより的確にとらえることができるのか?

という点を解説していきたいと思います。

当ブログではこれまで、下記のような様々な自己分析課題に取り組んできました。

自分をふりかえる方法(第2回)
自分の考え方や価値観の特徴を探る方法(第3回)
未来の自分を描く方法(第4回)
他己分析(第5回)
自分の印象やイメージの理解(第6回)
「内向型-外向型」の性格タイプ(第7回)
ビッグファイブの性格特性(第8回)

さしあたりみなさんが知りたいことは、

ビッグファイブプラスの診断結果が当たっているのか?、当たっていないのか?

ということですよね。

この点を明らかにするために、以下の課題を行ってみましょう!
活用するのは、第2回~第5回で行った自己分析のワークシートになります!!

(1)下記より課題のワークシート(「自分の性格」の総合的考察)をダウンロードします。
(2)ダウンロードしたら、ビッグファイブプラスの診断結果(①~⑤と自己ギャップ感)を以下の表の要領で書き込んでいって下さい。
(3)次に、診断結果に対する自己評価として、「当たっている」と思った場合は〇当たっていない」と思った場合は×、「どちらでもない」と思った場合は△のマークを記入して下さい。
(4)最後に、過去の自己分析の結果に基づき、(2)の自己評価の理由や根拠となるエピソードを記述してみましょう。
ワークシートの記入例

この課題で最も重要なのは、(3)の作業になります。
第2回~第5回の自己分析課題で得られたデータを活用して、自己評価(〇当たっている/×当たっていない/△どちらでもない)の理由や根拠となるエピソードを記述していきますが、以下、そのやり方を詳しく解説させて頂きますね。

a. 過去経験の活用法

自己評価(〇、×、△)の理由や根拠を考える上で主軸となるのは、『過去経験』になってきます。
当ブログでは、第2回第3回に行った自己分析課題(自分ふりかえりシート、過去のエピソードの掘り下げ)が『過去経験』を扱っていますので、今一度、課題のワークシートを読みかえしてみて下さい。

上の表では、

〇当たっているもの
②情緒安定性、③誠実性、④協調性、⑤開放性

×当たっていないもの
①外向性、自己ギャップ

という記載になっていますが、
「当たっている/当たっていない」の理由や根拠として、

・大学受験失敗を乗り越えた経験
・部活動を頑張った過去経験

などがあげられていると思います。
表の記入例を参考に、みなさんも「自己評価の正しさ」を裏付けるエピソードを第2回、第3回の自己分析課題の中から探し出してみましょう!
もし第2回・第3回の課題内容で不十分であれば、新たな過去経験のエピソードを思い出してみられてもよいかと思います。

b. 未来志向性の活用法

自己評価(〇、×、△)の理由や根拠となるのは、『過去経験』だけではありません。
『未来志向性』(未来の自分に対するスタンスや考え方)も、理由や根拠の材料になりえます。
当ブログでは、第4回の自己分析課題(バケットリスト、ライフプランの作成)が『未来志向性』の内容を扱っていることになります。

表の例をご覧下さい。
これによりますと、
①の外向性が高い根拠として、
「将来営業職として頑張りたいと思っているから」

③の誠実性(勤勉性)が高い根拠として
「将来トップセールスマンになるという目標を持っているから」

といったことあげられていますよね。
これらの記述が、その人の『未来志向性』を表している内容になります。
もしかすると、第4回のワークシートが、自己評価を裏付ける材料として活用できるかもしれません
表の記入例を参考に、理由や根拠となるエピソードがないか、よーく探してみてほしいと思います!

c. 他己分析の活用法

第5回で行った他己分析も活用していきましょう!
他己分析では、あなたの周囲にいる方々から①印象や雰囲気・イメージ②長所③短所④特徴⑤性格について伺ってみたと思いますが、①~⑤で得られたデータが自己評価(〇、×、△)の理由や根拠として活用できないか、検討してみて下さい

例えば上の表では、
自己ギャップ感が「当たっていない」根拠として、

「親友に『自分を大切にしていて素敵だね」って言ってもらえたから」

という理由があげられていますよね。
つまりこの例の場合、親友の意見を参考に

自分は自己卑下していない、自分を尊重したり肯定することができているはず!

という結論を導き出したのです。
これがまさに、他己分析で得られたデータを活用した考察法になってきます。

実は、性格診断結果よりも他己分析で得られたデータの方が、「あなたの性格を的確にとらえている」場合もよくあるとされています。
それゆえ、

  • aの『過去経験』やbの『未来志向性』で上手く診断結果を考察できない場合
  • 以前やった他己分析が上手く活用できないと思った場合

は、前回のビッグファイブプラスの診断結果を周囲の人に見てもらい、「当たっているか、当たっていないか」について率直な意見を伺ってみてもよいかもしれません。

ということで、必要に応じて以下の補足課題も行ってみて下さい。
補足課題をやって頂けることで、自分の性格をより正しくとらえられると思います。

(4)ビッグファイブプラスに対する自己評価の根拠となる『過去経験』のエピソードが不十分な場合は、新たなエピソードを思い出してみましょう。
(5)ビッグファイブプラスの診断結果周囲の人に見てもらい、それに対する意見や感想を聴取してみましょう。

いかがでしたでしょうか?

繰り返しになりますが、あなたの性格を最終的に判断するのは、性格検査項目を作った心理学者ではなく、

あなた自身

になります。
あなた自身が、自分の性格をどのようにとらえるのかという点が最も重要なのです。

性格を総合的に考察していく作業は難易度が高いですが、今回紹介した手続きに従い丁寧に進めて頂ければ、必ず『本当の性格』にたどりつくことができると思います。
まとまった時間が取れるときに、ゆったりとした気持ちで今回の課題に取り組んでほしいと思います。

minamin
課題できましたか?
って、また泣いてるじゃないですか!?
どっ、どーしたの??
学生さん
やっぱり、私、
ダーリンと別れます・・・
minamin
さっきLINEして、
ダーリンと仲直りしたじゃない。
何があったの??
学生さん
自分に自信がなくなりました・・・
結局、私はダメ女なんですよ(涙)

一体どういうことなのか?

泣きじゃくる学生さん、
想定の範囲外の出来事に、パニくる私・・・。

風雲急を告げる中、自己分析最終回に突入します!
最終回では、これまでの自己分析で発見できなかった「自分の良さ」や「魅力」を探っていく方法を紹介いたします!!
最後までお読み頂き、本当に有難うございました。

まとめ

ビッグファイブプラスの性格診断結果を無批判に信じ込むことは好ましくありません結果の適切さ慎重に吟味しましょう。
性格診断結果の適切さを判断する根拠となるのが、これまで行った自己分析課題になります。過去経験未来志向性他己分析で得られたデータに基づき、結果を総合的に考察していきましょう。

>> 10.自分の新たな『良さ』や『魅力』を発見しよう!
<< 08.自分の『性格特性』を理解しよう!